翌朝。心優と雅臣は、また制服姿に整えている。
「なあ、心優。制服じゃあ、まずい気がするんだよ。だってさ……」
白い夏服シャツに黒ネクタイにスラックス、でも雅臣が金色の星が煌めく黒い肩章に触れる。
「そうかなあ。スーツ姿で行く方が『あ、父親の俺が下官だから気遣ってくれたんだ』と感じちゃうと思うんだけど」
また制服で行くか、スーツで行くかで、二人は迷っていた。
そして結論がやっぱり『いつも通りの自分たちで行く』になった。それが気遣っていない証拠ということにして。
でも雅臣はプライベートの結婚のご挨拶だから、制服なんて関係ないとまだ捨てきれない様子。
「お父さんも気にしないと思うよ、そのほうが。仕事では臣さんのことを大佐だと敬うけど。だって、それって、大佐の姿って臣さんの最高の姿じゃない。わたしは、そんな臣さんをお兄ちゃんに紹介したいな」
「お兄さんに……か」
「大佐だって見せておいた方が威厳があって、下手に手を出さないと思うんだよね」
手を出すだと? 雅臣が妙にそこを恐れて、震え上がっている。
「お、お父さんより。兄ちゃんのほうが怖ええ……」
ネクタイの結び目に手を当て、緊張の息を荒くしはじめた。
「大丈夫だって……。なんにも、しないって……」
「言いきってないだろ。どんなことされるんだ? 投げ飛ばされるとか? それが男の洗礼?? な、な、」
ああ、凛々しい大佐殿なのに。お猿さんになって崩れちゃってる。心優はもう会わせるしかないなと苦笑いしかできなかったが。
「わたしだって、アサ子お母さんのライダー姿だけ見た時と、双子ちゃんに怒りまくっていた声を聞いた時は、どんな怖いお母さんなんだろうってドキドキしていたよ」
「う、わかってる。今度は俺の番だって。園田少佐は男気溢れる格闘教官、あの男らしいお父さんみたいな兄さんが二人いるだけだって」
「言っておくけど。臣さんの方がずうっとずうっと男前だよ。自信もってよ。小笠原の空部隊、雷神飛行隊の指揮官なんだよ。大佐殿なんだよ。五千人も収容する空母艦の副艦長なんだよ」
「でも。上の兄さんは、桜花柔道部のコーチなんだろ。オリンピック選手を育てているんだろ。そっちだってすげえじゃないかよ」
こんなに狼狽えている臣さんも珍しいなと心優は呆れてしまった。
でも。わかるな。わたしもすっごい緊張してきたんだもの。ましてや、あっちの兄ちゃんもゴリ兄だもんねえ……。
今度は大佐殿の番。心優と雅臣は浜松の実家を出て、今日は沼津に向かう。
―◆・◆・◆・◆・◆―
お別れ前。心優はそっとキッチンへ向かう。
今日も半袖のロゴTシャツに黒いデニムパンツ姿で料理をしているゴリ母さんの背中。
白金髪にライダースタイル、豪快な怒声。最初はびっくりしたけれど、話せば話すほど、自分のスタイルを貫き通してきた女性。その背中にいっぱい教えてもらった。
「アサ子お母さん」
朝日の中、目玉焼きを焼いているゴリ母さんが振り返る。
「ああ、おはよう」
「おはようございます。手伝いますね」
心優はエプロンを借りる。
「いいよ。そんな綺麗な真っ白のシャツが汚れたら困るし」
「毎日着ている、普段着の制服ですよ。汚れて当たり前なのです」
臆せずに素直に返すと、ゴリ母さんも嬉しそうに微笑んでくれる。
「じゃあさ。そこの刻んだ野菜をサラダにするから盛ってくれる」
「はい」
少しだけのお手伝いとなったが、ゴリ母さんとふたり、一緒にキッチンで最後の朝を過ごす。
雅臣も車に荷物を積んでくれている。浜松から沼津まで車で行く。
朝食の準備が終わって、食卓へ運び終わったあと。雅史父と雅臣を呼ぶ前に、心優はゴリ母さんへを向かう。
「お母さん、これ。賑やかで渡しそびれていたのですけれど……」
ラッピングされている箱を差し出した。
「え、なんだいこれ」
「お土産にチョコレートをと思っていたのですが、ううん、きっとチョコじゃない。これかなと……わたしが勝手に選んでしまったんです。お母さんに使って欲しくて」
「私にかい?」
アサ子母が驚いた顔をする。心優が選んだ贈り物。
「お母さんと出会った記念……かな……」
自信なく伝えてみたけれど、ゴリ母さんは嬉しそうな笑みを浮かべて早速手に取ってくれた。
「うわ、嬉しいな。なんだろう。開けてもいいかい」
「はい、もちろんです」
あの日、心優がお土産にと考えていた准将大好物のチョコレートを、雅臣のせいで逆にアサ子母がお土産にと小笠原に持ってきてしまった。その後、お母さんはチョコじゃない、これだと心優は思いついたもの……。
アサ子母がその包みを開けて、箱の中に入っているものを確かめ、さらに笑顔になってくれた。
「スカーフだね! それにこれ、ライダーグローブ!」
サイケデリックな柄のスカーフに、夏用のメッシュ手袋。それが心優が選んだ贈り物。
「夏でも首元は日焼けとかするし、風で熱も奪われやすいから、スカーフをたくさんお持ちで集めているような気がしたんです」
「よくわかったね! そうだよ。バイクに乗る時はスカーフをするんだ」
「初めてアサ子お母さんの姿を見せてもらった画像で、黒いレザーに映えるスカーフをお洒落にしていたのが印象的だったんです。きっと、そこがお母さんの一番のお洒落だと思って……。柄はわたしが勝手に……」
ドーリーちゃん!! またお母さんが心優をぎゅっと抱きしめてくれる。
「葉月さんがあんたを欲しいって、雅臣のところから小笠原に連れて行っちゃったのがどうしてか。いまなら私もわかるよ。ドーリーちゃんは凄い子だよ。いいか、自信を持つんだよ」
う。また泣きたくなってきちゃう。どうしてゴリ母さんってこんなにあったかくて安心できちゃうんだろう。もうずうっとこうしていたい!! もう心優の目はうるうる涙が浮かんできた。
「いい手触りだね。シルクだね! これは季節問わずにできそうだね。柄も色も、すぐにしたくなるものだ」
さっそく首に巻いてくれ、ゴリ母さんも目に涙が浮かんでいたから、心優はついに涙をこぼしてしまう。
「気をつけて行ってくるんだよ。ドーリーちゃん」
「はい」
「今度はドーリーちゃんのために、帰還の時は横須賀におかえりなさいのお迎えに行くよ」
「ほんとですか」
「うん。だから、なにがあっても絶対に還ってくるんだよ」
もう心優は涙も声も抑えられなくなって泣いてしまった。
「あ、母さん。なんで心優を泣かしているんだよ」
荷物を積み終わった雅臣がキッチンを覗きにきた。
「は? 泣かしてなんかいないよ。……別れを惜しんでいたんだよ」
「は? そんな、惜しい?」
もうほんとに息子ってなんにもわかっていない!
だから雅臣の目の前で、心優はゴリ母さんにぎゅっと抱きついた。
雅臣がギョッとした顔になる。
「え、み、心優? な、なに母さんに抱きついてんだよ」
だが今度はゴリ母さんが心優をぎゅっと抱きしめ、息子を睨んだ。
「雅臣。心優さん泣かしたら、承知しないからな」
「え、え。どういうこと????」
この二日間。女同士でどんなことを交わしたかなど……。息子は知らず。
それも女の秘密。心優とゴリ母さんは最後は微笑みあっていた。
―◆・◆・◆・◆・◆―
「心優さん、もう行っちゃうんだ」
「お正月は空母艦に乗っていて、会えないんだよね」
いよいよ車に乗り込んで、浜松の城戸家とお別れの時。
助手席に乗った心優をみて、双子ちゃん達が泣きそうな顔。
もうほんとに身体は立派な大人なのに、そういうかわいい顔をされてしまうとお姉さんな叔母さんまで愛おしくて泣きそうになる。
「帰ってきたら会えるよ。また小笠原に招待するから来てね」
うん。絶対に行く! と二人が心優を見送ってくれる。
「心優さん、楽しかったよ。ちゃんと帰っておいでよ。私も、母さんと双子と一緒に帰還のお出迎えに行くからね」
「真知子お姉さん……。ありがとうございます。お姉さんも双子ちゃんと一緒に小笠原に来てくださいね」
今日も綺麗にヘアメイクをしているお洒落なビッグママの真知子姉も、ご主人の史也さんと一緒に名残惜しそうに見送ってくれる。
アサ子母と雅史父は運転席にいる雅臣と別れを交わしているようだった。
「雅臣、無理すんじゃないよ。母さん、あんたの結婚式楽しみにしているんだからね」
「わかってるよ。もう戦闘機乗りじゃないから前ほど危険じゃないって」
そこはどこの母子もおなじであろう、案じる母と大丈夫と意地を張る息子の姿。
でも最後。やはり、普段はのほほんとしているけれど、大事な時は威厳ある眼差しを見せる雅史父が息子に向かう。
「空に出る者がどれだけ危険かはおまえがいちばん分かっているだろう。今度はおまえが、空に出る若者を守る番だ。ひとり残らず家族の元に帰す。大佐の使命だ。わかったな」
「うん、わかったよ。父さん」
自分の身は空母で守られても、戦闘機で空に出るパイロットは丸裸。その丸裸を経験してきた大佐殿が今度はその危機を一手に引き受ける責任がある。最後、父親がそんな大佐殿の気を締めた。
「心優さんも気をつけて」
「ドーリーちゃん、待ってるからね」
心優には優しい笑みを見せてくれる城戸のご両親、心優もこっくり頷いて別れを惜しんだ。
「じゃあ、行くか」
雅臣が車を発進させる。
ゆっくりと動く車の横を、双子ちゃん達が走って追いかけてくる。びっくりした心優は窓を開ける。
「心優さん!」
「心優さん、叔父ちゃん。帰ってきてよ!」
なんだろう。この子達、すごく切羽詰まった顔をしてる。だから心優は安心させるために笑顔を見せる。
「ユキ君、ナオ君。絶対に還ってくるよ!」
手を伸ばすと、その指先に双子の指がちょっとだけ触れた。それが最後。それで満足したのか、双子が走るのをやめて何度も手を振ってくれる。
心優もバイパスの大きな通りへと雅臣が車を出すまで、双子ちゃんが見えなくなるまで手を振った。
はあ、なんかこっちも涙が出ちゃった。走り出した車の助手席で、心優はハンカチで目元を拭う。でもその横からもぐずぐずする泣き声が聞こえてきて、心優はギョッとして運転席を見た。
「や、やだ。臣さんまで――」
雅臣も涙をぼろぼろ流している。でもハンドルから手を離せないので流しっぱなし。
「くっそー。こんな帰省、初めてだよ。なんだよ、こんなふうに見送ってくれたことなんてねえよ。あんな双子のかわいい顔見たら泣けるじゃないかよっ」
ああ、やっぱり叔父さんとしてあの二人の甥っ子ちゃん、かわいくてたまらないんだと心優も痛感する。
運転している雅臣の代わりに、心優が涙を拭いてあげる。
「うー、心優のおかげだな。みんな、心優のことあんなに気に入ってくれて、俺、嬉しかった」
「ううん。臣さんの家族だからだよ。臣さんみたいな大佐殿が育ったわけがよくわかるご家族だったよ。うんと楽しかった」
はあ、良かった。ひと安心。雅臣も幸せそうな笑みを浮かべている。家族と彼女が上手くいったという安心だけではないはず。
今日、雅臣の腕にはあのパイロットウォッチ。長年の胸の支えが取れた帰省でもあったはず。
「その時計、似合うね」
「うん、びっくりするくらいしっくりする」
「ちょっと妬けちゃうな。……わたしだって、いつか臣さんにパイロット時計と思っていたのに……」
「ええ? 心優がプレゼントしてくれたら、それだって大事に使うよ。健一郎のは胸にしまう」
「ほら。同等なんだ」
「マジで嫉妬してるのかよ? いままでそんなことあまりなかっただろ?」
「臣さんが知らないだけで、してるよ。女の気持ち、まったくわかってないんだから。今回の帰省でもほんと余計にそう思ったよ」
え、え? 俺そんなに鈍感だった?? 雅臣が本気でわかっていない自分をわかっていないので、逆に心優は笑いたくなってきた。
そりゃあ、お金も取られるはず。でもそんなお猿さんだからこそ、愛おしいんだけれどね――?
「安心してよ。わたしも健一郎さんの気持ち、大事にしていきたいから」
「心優……。いま運転してなければ抱きしめたいところだな」
でも。今夜は伊豆の隠れ家温泉。急に雅臣がむふふというお猿な男になったので、心優は呆れてしまう。
だけど。そうなんだよね。今夜は制服を脱いで、なにもかも忘れて、二人きり。大佐であることも、准将の護衛官であることも、小笠原では捨てきれない生活。
でも今夜はそれすらも脱いでしまうの。誰にもなににも邪魔されない、二人の初めての旅行。
―◆・◆・◆・◆・◆―
潮の香りは、小笠原とおなじ。千本松原の海岸、港町、沼津。
心優が生まれ育った場所だった。元は母の生まれ故郷、演習出張などで父親の留守が多いため、母の実家のそばに家を建てたと聞かされている。
心優の祖父も空手をしていた。そんな祖父と父が最初に出会っていて、師範であった祖父の娘と、その弟子として父と母は出会ったらしい。
「そうか。じゃあ、心優の師匠はお父さんと言うより、お祖父ちゃんなんだ」
「ちっさい時はね。お父さんも留守は多かったけれど、いる時はみっちり教えてくれたよ」
「心優は子供だったから知らなかったかもしれないけれど。心優の親父さん、園田少佐の手ほどきで育った特殊隊員も結構いるらしいからな。そういう男達が極秘の任務に出て行くための格闘訓練も担当していたようだから、演習となると何日も訓練にこもっていたはずだよ」
「うん、最近知った。お父さんも軍隊の仕事は機密の部分が多いから家ではそんなこと喋れないんだよね。御園准将という中枢にいる上官の下にいると、そういう話も普通に聞こえてくるし、護衛部の部長とか、シドと一緒に訓練をしている陸部の特殊隊員さん達が『園田教官のお嬢さん、やっぱりさすがだ血筋だと思いました』なんていまになって言ってくれるんだよね」
御園准将のそばにいれば、軍の機密もすぐそばで日常。そんなことはもう知っているだろう秘書官になった途端に、聞けるようになった『父の功績』。
「そういう演習に駆り出されていたんだろうな。実戦経験はなくても、そういう『技』はお父さんならではなんだろう。心優だって実戦でその実力発揮していたから、余計に証明されたもの。心優のシルバースターの勲章は、心優を育てた園田教官の功績でもあると言われているらしい」
「え、そうなんだ。知らなかった――」
「お父さんの株もあがったことだろう。これから園田教官目当てに訓練を申し込んでくる男達が殺到することだろうな」
心優が授与された『シルバースターの勲章』。それが父のためにもなっていると聞いて、嬉しくなった。あの時、命がけという言葉すら浮かばないほど必死だった。もう少しでお父さんとさよならすることろだった。でも、お父さんが叩き込んでくれたこと全てが心優を守ってくれたとも思っている。あれはお父さんそのもの。それがさらに評価されたなんて……。でもそれも生きて還ってくればこそ。心優は再度、還ってきてこそと肝に銘じた。
「あの家だよ」
濃いピンク色の薔薇に囲まれた玄関を指さした。
「うわ、心優の実家ってかんじだな」
「そ、そうかな。……えっと、がさつな体育会系の家だからね」
「いやいや。お母さんが家庭を大事にしているのがわかるよ。心優だってちゃんと女の子らしいんだから、そこはお母さんがちゃんと守ってきたってわかる家!」
花々に囲まれているのは母の趣味なんだけれど……。でも確かに花が絶えない、季節を感じる家ではあった。
「でもー、ドキドキしてきたー。柔道のコーチと、格闘ジムの社長さんー」
車を駐車した雅臣がまたハンドルへとがっくり脱力している。
「大丈夫だって。大佐だよ、ファイターパイロットで、エースパイロットだったんだよ。いまは雷神の指揮官だよ! 今度は副艦長なんだよ」
「うんなの、一般社会では関係ないもんな」
「あるよー、おなじだよ」
いつまでも脱力している雅臣をなんとか励ます。
「心優?」
車の音で気がついたのか、母が玄関から出てきた。それに気がついた雅臣がやっとしゃきんとして、いつもの凛々しい大佐殿に大変身。
心優も車から降りて、久しぶりの母に微笑む。
「お母さん、ただいま」
「おかえり、心優ー。横須賀のお迎え以来ね」
「うん。あのあと業務報告があって一緒に食事もできなくて、すぐに小笠原に帰っちゃってごめんね」
本当は『査問委員会』があって、大陸国のバーティゴ事故に、国籍不明不審者侵入などの報告があったことは、まだ母は知らない。
「それでもあなた、中尉に昇進したってびっくりしたわよ。護衛をしただけで昇進できるなんて、ほんとに凄いお嬢様な将軍様のところにいっちゃったのね」
「あはは、そうなの……よ、わたしもびっくりで……」
基地では『不審者制圧をした空手家護衛官』と噂が流れ、認められているところがあるけれど。母からすれば、お偉いさんの為にそばにいる護衛官の泊のために昇進したと感じることしかできないよう。
父も知っているはずだけれど――。そこは父も余計な心配はさせまいとか、子供だった心優にはずっと知られないようにしてきたように『極秘の仕事は軍隊では常』として家族にももどかしくても黙ってきたのがよくわかった。
「お母さん、お久しぶりです」
そして、心優の隣に凛々しい大佐殿が並んだ。
背が高くて爽やかなお猿スマイル。やはり母もそんな男前な大佐殿を見上げて、ちょっと頬を染めている。
「いらっしゃいませ、城戸大佐。この度はわざわざこちらにいらしてくださってありがとうございます」
「ええっと。お母さん、俺のことは、大佐じゃなくて、雅臣って呼んで欲しいです」
娘の上官に接するような仰々しさだったため、雅臣がちょっと困惑していた。
「母さん、心優が来たのか」
薔薇の庭から、父がもっさりと出てきた。今日はポロシャツにバミューダーパンツというラフなお父さんの姿で。
「お父さん、ただいま」
「お父さん、お邪魔いたします」
制服姿で並んでいる二人を見て、父はなんだか誇らしげな笑みを見せてくれる。
その父が目の前にやってくる。
「おう、お帰り。心優。そして雅臣君、いらっしゃい。待っていたよ」
父は、大佐の肩章をしている雅臣を見ても、もうお父さんとしての接し方だった。だからなのか、雅臣の方がジンとしちゃった顔をしている。
「さあ、入れよ。寿司、頼んでるから」
父が心優より雅臣の背を押して、連れていこうとしている。
「沼津で寿司ですか。楽しみです」
雅臣もすっかり息子の顔になっていた。
男二人が和気藹々と玄関へ行くのを、心優もホッとして眺める。
「よかった。お父さんらしくて……」
「そうなのよう。なるべく少佐と大佐にならないよう気をつけようと気構えていたみたいよ。スーツで来るのかな、制服かな、もしや正装でかしこまってこないだろうな。俺の服装どうしよう……なんて、ね」
あ、こっちのお父さんもお猿さんと同じようにそわそわして悩んでいたんだと心優は知る。
「それに。心優が書いた婚姻届なんて見ちゃったら泣いちゃうどうしようなんて言っていたからね」
「ほんとに? やだ、お父さん。証人の欄にきちんと書いて欲しいよ。浜松のお父様はすごい落ち着いている方だったから」
「あちらのご実家は大丈夫だったの。お母様どのような方なの? お姉様もいらっしゃったのでしょう」
母親の心配も早速。でも心優は満足げに母親に微笑みを返す。
「すっごく素敵なご家族だったよ。はやくお母さんにも紹介したい」
「あら、そうなの。心配しちゃったのに……」
でも心優がそんなに嬉しそうなのも久しぶりね――と、今度は母が心優の背を押して家の中に行きましょうと連れていってくれる。
「うわあ、お母さんの薔薇。久しぶり。いい匂い……」
実家の風の匂い。潮風と花の匂い。素朴な一軒家だけれど、母がつくり出すこの家の空気は、心優の大好きな匂いのままだった。
あっという間に子供に帰れる。そんな匂い。軍隊で緊張しているなにもかもがほどけていくようだった。
―◆・◆・◆・◆・◆―
雅臣と一緒に久しぶりの実家へあがる。
「こちらへどうぞ」
母の案内で客間にしている和室に通された。
その和室に入って、心優はギョッとする。
東京の大学でコーチをしている長男兄の『達郎』と、母と同居をしている次男兄の『武郎』とお嫁さんの咲子、そして武兄の娘ふたり、ルリとマリがきちんと正座して並んでいたから――。
「いらっしゃいませ、城戸大佐」
「おまちしておりました」
「いらっしゃいませ、大佐さん」
一同揃って正座にて次々と畳に額が付くほど頭を下げている。あまりの物々しさに心優は唖然とする。
それは雅臣も同じく――。あんなに緊張してやってきたお猿さんが、さらに硬くなったのが心優にはわかった。
こんな仰々しいから、ついに大佐殿が襖がある入口で正座をしてしまう。そこ座ったら痛いでしょ……と心優は困惑するばかり。
「はじめまして。城戸雅臣です。本日はお邪魔いたします」
違う、違う! うちはこういう仰々しい家庭じゃないから! 心優はそれを一緒に後ろで控えて見ていた母にこっそり言う。
「お母さん、なんなのこれ。雅臣さん、すごく緊張しちゃったじゃない」
「だって。大佐殿なんだもの。しかも空の国境を護っていたファイターパイロットさんでしょう。あのマリンスワロー飛行部隊でエースさんだったし、雷神にだって一番に引き抜かれて、横須賀基地でも将軍の秘書室長でエリートさんだったし。いまは雷神のエースを育てる指揮官さんでしょう。それに、今度の任務は副艦長。そういうお偉いさんがやってくるのよ。粗相のないようにとお兄ちゃん達、すごく気構えていたのよ」
いつもの兄ちゃん達じゃない! 心優は呆気にとられるばかり。
だから。雅臣が正座しているその前に、心優が立ちはだかる。
「やめてよ。いつもこんなじゃないでしょ。雅臣さんがびっくりしているじゃない」
すると父も困った顔をした。
「いや、父さんも、気さくな青年だよ――と兄ちゃん達に伝えたんだけれどな……」
すると端っこで大人しくしていた小学生の姪っ子二人がひそひそしはじめている。
「ルリ、マリ。静かにしなさい」
母親の咲子がしかめ面になったが、ひそひそしていた姪っ子二人が最後にはクスクスとおかしくて堪らないという笑い声をたてる。
「こら。ルリ、マリ!」
次男の武郎兄貴も睨んだ。
でもおませな年頃の二人が、ついに心優に向かって言った。
「心優ちゃん、すごい!」
「大佐さん、イケメンだね!」
あ、そう? おませなあなた達から見ても、そう見える? 心優はひっそりと微笑みたくなったが堪えたのに、姪っ子達が思わぬことを揃って言い出した。
「だって。心優ちゃんが結婚するって聞いて……」
「軍人さんでガタイがいい男ってお祖父ちゃんが言っていたから」
『絶対に、パパ達みたいなゴリラを捕まえてきたんだよね、笑わないように気をつけなくちゃ』!!
「って、思ってたのに」
「予想外! ゴリラじゃなかった」
なんて、二人揃って言ったので、園田家の大人一同が凍り付いた。母親の咲子義姉に至っては『なんてこというの!』と顔が真っ赤に。
「あはははは! ゴリラって……!!」
雅臣が正座をしたまま笑い出した。
「いやいや、ゴリラでいいよ。うちの母親もゴリ母ちゃんと呼ばれる大型母ちゃんだから、ゴリラの息子でゴリラは当たってる!」
それで緊張がとけたのか、やっと基地で見せている凛々しい大佐殿の顔になる。あの愛嬌ある男前のお猿スマイルを姪っ子達に見せる。
「ルリちゃん、マリちゃん。叔父さんになる雅臣です。よろしくな」
大人の男のセクシー目線が、姪っ子達に直撃。やっと姪っ子達が恥ずかしいことをしたと顔を真っ赤にして黙り込んだ。
「かわいいね。心優おばさんに似てる。えっと、これ……。ルリちゃんとマリちゃんに、おじさんからお土産です。どうぞ」
心優と相談して準備した、イマドキ女の子が喜ぶブランドのポーチセット。かわいいラッピングにリボンをしてもらった。
ひとめでどこのものがわかっちゃうイマドキ女子の姪っ子達が目を輝かせた。でも、ここはお行儀良く。お母さんの顔を窺っている。
「せっかくだから、いただきなさい。雅臣さん、ありがとうございます」
「いえ、お義姉さん。うちの実家に双子の甥っ子がいるんですが、心優さんもよくしてくださったんです。自分もお嬢さん達にさせてください」
「まあ、双子ちゃんがいるのですか」
「いやあ、毎度お騒がせの双子でしてね。俺に負けないほどがたいがいいんで、大騒ぎになるんですよ。やっぱり女の子はいいですね。かわいいです」
咲子姉まで、雅臣の男前スマイルに恥ずかしげにうつむく始末。でも心優は改めて思った。お猿さん、キラキラする時はほんと凄い。一気に惹きつけちゃうんだからと。
姪っ子達も雅臣のそばまで近づいてきた。
「おじさん、ありがとうございます」
「いただきます。雅臣おじさん」
「うん。かわいい姪っ子がいると聞いていたから楽しみにしていたんだ。会えて嬉しいよ」
お猿さんの男前スマイルを目の前にして、姪っ子二人がついにぼうっと雅臣に見とれていた。
「おじさん、パイロットだったんですよね」
「うん」
「敵の戦闘機を見たことあるの?」
「あるよ。周辺諸国の不明機が近づいてくるから、スクランブルがあるんだ。『こっちに来るな、国に帰れ』。国境線を護るんだ。それが戦闘機パイロットの仕事だよ」
「怖かったことある?」
雅臣がそこで笑顔のまま黙った。どう答えるのか。心優も気になった。
「俺達がやる。俺達がやらなくてはならない。コックピットに乗れる男は限られている。その男になれた以上、コックピットを望んだ以上、その道を選んだ男の使命だ。不明機は『俺達はそっちに行けるんだ、おまえ達の国なんかより強いんだ』と仕掛けてくる。そうなると燃えるんだ。こっちにくるものならやってみろ。こっちにはいってくるな。俺達が意地でもここは護る――と。そこで俺が護るものはなにかというと、ルリちゃんとマリちゃんも護っているという気持ちになる。その領空線は『国民の尊厳』なんだ、1ミリも馬鹿にされてはならない、踏み込まれてもならない。怖いと思うのは、陸にいる人に二度と会えなくなるかもしれないことだけだよ」
姪っ子達がそれだけでうるっとした目を見せた。そういう感情もあっという間にお猿のシャーマナイトの目は感じさせてしまう。
「もうそこには大佐は行かないの」
「行けなくなったんだよ。怪我で戦闘機に乗るには適性外の身体になったんだ。でも、いまは空母艦で後輩のパイロット達を護ろうと思っているんだ」
「心優ちゃんとまた行くってほんとう?」
「本当だよ。でも、また帰還したら心優おばさんと会いに来るよ」
姪っ子がホッとした顔をした。かわいい包みを胸に抱えると、母親のそばに戻っていく。
「すまないね、雅臣君。パイロットがうちに来るなんて初めてなもんだから」
「いいえ。すこしでも興味を持って頂けるのは、海軍パイロットとして嬉しいことです」
父がやっと雅臣を座布団がある席へと誘った。雅臣も緊張がとけたのか、にっこり穏やかな微笑みのまま座布団へと座った。心優もやっとその隣に座る。
それにしても――と。心優は正面にいる兄貴二人を見た。臣さんがあんなに怖がっていたのに。こっちの兄貴が怖がってるじゃないと予想外の緊張ぶりにびっくりする。
「お食事をいただく前に、前もってお知らせしていたお話しをしてもよろしいですか」
雅臣から切り出したことに、雅臣のそばに座っていた父が固まった。その隣にも母やゆったりと正座をして雅臣に向いてくれる。
雅臣が心優を見たので、心優も準備していた婚姻届をテーブルの上に広げた。
雅臣がそれを手に取り、父にそっと差し出す。
「ご挨拶をさせていただきます。心優さんと結婚をさせてください。お父さん、お母さん、お願いいたします」
白い海軍の夏制服姿で、雅臣が厳かに正座にて頭をさげる。その後ろで心優も『お願いします』と頭を下げた。
休日のラフな姿の父だったが、途端に険しい顔になる。仕事で見せている少佐の顔だった。その婚姻届を手に取った。
「あちらのお父さんは認めてくださったのだね」
「はい。母と姉と甥の双子に見届けてもらいました」
「そうか」
心優が書いた婚姻届を見たら泣いちゃうかも――なんて母が言っていたけれど、そうでもなかった。とても厳しい目つきで、感激しているなんて様子はひとつもない。
「心優に聞く」
「はい」
怖い父の顔に、急に心優は緊張する。あの時とおなじ顔だ。小笠原の御園准将の護衛官になると転属の知らせをした時に『お父さんは反対だ、断れ』と叫んだ時の怖い顔。
「雅臣君のドッグタグを握りしめる覚悟もできているのだな」
その問いに、心優だけではない。母も兄二人も義姉も驚愕の表情を揃え固まる。ただならぬ空気が充満する。わからないのは姪っ子だけ『ドッグタグってなに?』と隣の母親に聞いている。
結婚の許しを得るのに、どうして夫の死を思わなくてはならない。そういう縁起の悪い話。
でも、心優は雅臣の覚悟を浜松で見ている。だからそのまま父にしっかりと眼差しを向ける。
「できています。雅臣さんの認識票を握る日が来ても、わたしは生きて雅臣さんの子供を護ります。でも夫がそうならないよう、陸から艦を援護したいと思っています」
心優がそう告げた途端、父の隣にいる母が泣き崩れてしまった。
『ドッグタグってなに?』、『軍人さんが首に下げている自分の番号が刻印されているメダルのペンダント。任務で殉職した時はその番号が『本人』であると証明し死亡した証拠として帰ってくるの』。
咲子姉の説明に、姪っ子達もショックを受けた顔になった。
「雅臣おじさんのお仕事ってそんなに危険なの」
「そうじゃないんでしょ。大きな空母艦は護られているんでしょう。お祖父ちゃん、せっかく心優ちゃんが結婚するのに、変なこと言わないでよ!」
今日は嬉しい日じゃなかったの? 姪っ子、孫からの抗議でも父は頑としていた。
「そういう結婚だということを、今日はおまえ達にも肝に銘じてほしい。俺は運良く内勤の教官として、外へ出て行く特殊部隊の男達を訓練するのみで済んできた。だが、教えた男達は傷ついて還ってくる。栄光ばかりではない。雅臣君はファイターパイロットだった時からその責務を負ってきたベテランではあるが、心優も艦を下りる業務に移るまでは、ファイターパイロットと変わらない気の緩みが命を落とす、そんな任務を請け負っている。その覚悟は、家族も必要だ」
「そうなの、お祖父ちゃん。心優ちゃん……小笠原に行ったのはそういうことなの?」
「でもそんなこと滅多にないよね、ね? だってニュースでそんなこと一度もないもん」
姪っ子達の平和が当たり前である、そしてそうであるのだと信じる姿に胸が痛くなる。
ニュースにならないものもいっぱいあるだろう。心優は先日の任務でそう思った。自分たちが艦で遭遇した危機など、いちいちマスコミで報道などされないから。
でも。『真実は語らず、安心させる』、それも航海へでていくわたしの使命。父が子供だったわたしになにも感じさせなかったように……。心優はいま姪っ子に教えてもらった気がした。
「ルリ、マリ。大丈夫だよ。そうだよ。そんなこと滅多にないよ。ただね、艦でそこを警備しないとがらあきになっちゃうの。なんでもきちゃうの。特に西と北の方ね。こっちに入ってくるな、ここは私達の領海だからと空母艦で通過するだけでも効果があるの。戦闘機を艦載するのは他の基地と一緒。すぐスクランブル指令で飛べるように備えているだけだよ。次の航海もそういう警備航海だから大丈夫。雅臣おじさんもそうだよ」
心優の意図が通じたのか、雅臣もさきほどのお猿スマイルで姪っ子達ににっこり。
「そうだよ。警備航海だよ。戦闘機パイロット達は毎日おなじように慣れているスクランブルをするだけ。訓練されているから大丈夫。彼等が毎日、空に近づく飛行機を追い払っているから慣れたもんだよ。しかもうちの艦に乗せるのは、あの雷神だ。敵も逃げていく。な、心優」
「うん。だから一緒に還ってくるから、心配ないよ」
どんな危険があるとわかっていても。こうして家族を安心させるのも使命だ。そして必ず還ってくること。それも使命。
だが、ここで硬くなっていた長男兄が、雅臣に頭を下げた。
「もしものことがあっても。心優のことは私達兄貴も力になります。ですが、妹が結婚するなら、城戸大佐と家族になり望むことはひとつ。絶対条件は無事帰還です」
「もちろんですよ。お兄さん。俺はそう思って、戦闘機に乗っていた時も還ってきていましたから」
次男兄も頭を下げてくれた。
「家族が欠けることは絶対に嫌です。娘達もこのように哀しみます。ですが、ご安心ください。家族となった者は俺達も守らせて頂きます」
兄二人が揃って頭を下げた。雅臣も感極まっていた。
「達郎さん、武郎さん。ありがとうございます。安心して海に出て行けます。留守の間はよろしくお願いいたします」
兄と雅臣が通じた瞬間だった。
「では。証人となろう」
家族の覚悟が決まったのならと、やっと父が万年筆を握り、母が印鑑を用意した。
父が静かにサインをする。最後、印鑑を押してくれた。
それを雅臣に差し出すと、やっと雅臣が嬉しそうに微笑んだ。
「お父さん、お母さん。お兄さん、お姉さん。そしてルリちゃんマリちゃん。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、どうぞ娘をよろしくお願いいたします」
父と母の許しを得て、雅臣が笑顔になる。雅臣の笑顔一つでそれまで『家族の覚悟』で重くなってしまった空気にふわっとした明るさが生まれた。やっぱりお猿さん。その愛嬌で皆を笑顔にしちゃうんだね――と。
なのに。そこでやっと気が緩んだのか。父がメソメソ泣き始めちゃったので、姪っ子達が『お祖父ちゃん意地っ張り』と笑い出した。
「さあさあ。お食事にしましょう。ほんっとお父さんみたいな軍人さんってお堅いわねー」
母も涙を拭きつつも呆れて笑いながら、キッチンへと向かっていく。
ようやっと賑やかな食事会になって、皆で寿司をわいわいと囲んだ。
「雅臣おじちゃん、ねえねえ、」
「心優ちゃん、どんなドレスにするの。決めてるの?」
姪っ子ふたりは、もう雅臣が気に入ったのか、雅臣に話しかけたり心優の結婚式のことを根ほり葉ほり聞いてくる。
姪っ子がようやっと離れると、雅臣もホッとした顔に。
「かわいい姪っ子ちゃんで良かったよ。それに……兄ちゃんズも……」
生真面目そうで怖くなかったと、雅臣が笑う。
だが妹の心優は『おかしいな。後輩達にはすっごい無理強いをする体育会系バリバリの兄貴達なのに』と首を傾げていた。
「ま、雅臣君!」
と思っていたら。次男兄の武郎が、雅臣の隣にやってきた。
「は、はい……」
「こ、これ。お願いしていいかな!」
兄がぶっきらぼうになにかを差し出してきた。
それは軍広報部が販売している展示飛行のDVD。なんかこの光景……どこかで最近見たと心優はまさかと兄を見た。
「マリンスワロー飛行部隊が大好きなんだ! 頼む、サインをしてください!!」
「え、お兄ちゃん。こういうの持っていたっけ?」
心優もびっくりして、兄が持っているDVDを手に取った。
「父ちゃんが海軍で横須賀にいたんだから、ガキの頃から展示飛行何度も見てきたんだよ! いまだって見に行くからな!」
うそー! 知らなかった!! そんな様子微塵も見せなかったじゃないと言いたい。だが確かに。兄貴達は男だからなのか、父の基地のイベントに行きたがっていた。心優は興味がなかったのでつまんないと母と留守番していたような気がする。
「わ、そうでしたか。うわー、じゃあ、俺とお兄さん初対面てわけでもなかったんですね」
「これ、ソニック?」
兄がパッケージの裏に掲載されている写真、ハイレートクライムのホーネットを指さした。
「俺ですね」
兄ががっしりと雅臣の手を握った。
「すげえ、まじかよ。妹がソニックを連れてくるなんて!!」
兄が雅臣にガバッと抱きついてしまったので、心優はギョッとして、姪っ子達も『パパ、なにしてんの、恥ずかしい!!』と騒ぎ出した。
大男が大型お猿に抱きついているという変な盛り上がりになってしまった。本当は次男兄の方は雅臣より年下なので、これからは臣さんのことを逆に兄貴と呼びそうな勢いになっている。
臣さん、お兄ちゃんのこと怖がっていたけれど。みんな大好きソニックに助けられたね。
最後はみんなが、雅臣を取り囲んでわいわい。やっぱりこれこそ、ソニックお猿さんだよね。心優もお寿司をいっぱい頬張って、やっと笑ってばかりの時間を過ごした。
Update/2016.11.8