【隼人ダイアリー】 *** 月にウサギ ***

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月にウサギ 10月

  ■ 隼人さんの日記の特徴■

・お仕事が忙しくなるとがっつり日が空きます。(更新は1ヶ月分を月1回)
・まめな人ですが、日記はまめじゃありません。
・ですが、誰もみていないと思って、結構思いっきり書いています。
個人名も、生活環境も、職場名称も。身バレ大丈夫?な感じですが、
そこはみてしまっても、隼人さんの鬱憤のため流してやってください(=´ー`)v




10月4日
娘が一歳になった。早いなあ。これをきっかけになんとなく秘密のダイアリーを作ってみた。
誰も知らない俺だけの独り言コーナー。


今日は家族だけで誕生日パーティーをしたが、週末に改めてファミリーで祝うらしい。
鎌倉と横須賀から御園の親戚が集まる。義兄さんがまた張り切っている

第一子の息子はケーキを平らげると、隣にいたママのケーキを欲しがり、妻が困っていた。
妻もケーキを楽しみにしていたのだろう。まったくいつまで経っても、甘いものには目がない奥さんだ。
娘にも少しだけクリームをなめさせてやったが、彼女は苺の方がお好みのようだったから、俺のを分けてあげた。
まだまだ小さな娘だけれど、この子が大人になったらどんな女性になるか楽しみ。
だけれど何事もなく幸せになってくれることを祈らずにはいられない。そんな夜だった。

 

・・・*・*・*・・・ ・・・*・*・*・・・・

 

10月9日
先日日曜日に無事にファミリー誕生日会終了。
また賑やかだった。横須賀のお義父さんと、うちの横浜の親父が一番喜んでいたような気がする?
また右京兄さんと純一兄さんが『アンのために選んだ可愛い水色の服』対決を始めて大変だった。
だけど、妻が気に入ったのは甥の真一が選んでくれたピンク色の服
うちの妻の家系は水色系とは思いこみだったのか。黒髪の娘にピンクがことのほか似合うとは意外。
今日も妻はそれを着せて朝からとってもうっとりしていた。娘を見てうっとりしている妻の顔もなかなか。
あんな顔が見られるとは思わなかったなー。
ということで甥が贈ってくれたピンクの服を着てアメリカキャンプの保育所へと出かける娘のスナップを一枚。
記念にここに画像アルバムとして掲載してみる(もちろん、顔なし後ろ姿)

 

・・・*・*・*・・・ ・・・*・*・*・・・・

 

10月20日
すごく仕事が忙しくて、せっかく始めたダイアリーを早速放置してしまった。

10月の末は職場で大きな行事ごとがあるので周りが忙しい。
俺は現場隊員を退いた形になるので、忙しく動き回っている元部署の同僚達を端から傍観しているだけの気分。
手伝ってあげたいが、いかんせん、部署が教育系だけに手が出せない。
今年は妻の部署が数年ぶりに『ホスト部署』になったらしく、また多忙を極めている。
後輩達のサポートがめざましく、それは妻も隣人の達也もとても喜んでいたのだが……。
やはり少しだけ疲れているのか。妻が少しだけかりかりしている気がする。そんな顔を決して表には出さない妻。我慢しているのではなくて、そういうふうに生きてきてしまったから、どうしても顔に出さない。
でも、俺にはわかる。そこは毎日一緒に暮らしているからなのか。
少し嫌な予感がする……。

 

・・・*・*・*・・・ ・・・*・*・*・・・

 

10月22日
嫌な予感は当たった。
疲れていると、ほんの少し睡眠が浅くなる妻。
そんな時に『奴』は未だに妻のところにやってくる。
昔ほど酷い目覚め(大声を出して起きたり、パニック寸前で目が覚めたりしていた)は、なくなったけれど、昨夜は急に起きあがって過呼吸みたいに息を荒くしていた。
身体中汗びっしょりで震えている。……今に始まったことではないけれど、『奴』が裁かれて刑務所に隔離されていても、妻の中からは出て行かない。
そんな夜は俺も悔しくて口惜しくて、眠れなくなる。

子供達を起こさないように、そっと一階のキッチンに行き『ヴァンショー(ホットワイン)』を作ってみた。
妻はオレンジとシナモンを入れた『オランジュ派』。クローブ(丁子)を多めに入れて香りをスパイシーにするのが妻のお気に入りになっている。
ついでに俺の好きな『クラシック(レモン)』も作っていると、いつのまにか妻が後ろにいた。
何も言わないで俺の背中に寄りかかってきた。
それがちょっと嬉しかった。これが結婚前なら、絶対に頼ってくれないことだったから。

 

・・・*・*・*・・・ ・・・*・*・*・・・

 

10月24日
この前の晩のことで、俺までちょっぴりブルーになってしまった。
あのあと、妻はヴァンショーを飲むと満足そうにしてちゃんと眠ってくれたし、あれから安定した睡眠を得ている。

でも俺は、急に独身時代のことを思い出していた。
丘のマンションで、今と同じように毎晩一緒に過ごしていたのに、今とあの時では全然違う。
まあそれも、結婚した時に、妻にとって元凶であった犯人が捕まったから、結婚後はある程度の安定が出来たのかもしれないけれど。
でも独身の時は、事件が原因とわかっていも、まさかそんな男が妻を支配しているだなんて思いもしなかった。無理もない。妻は幼い時襲われたショックでその記憶に蓋をするという自己防衛をしていたんだから。
まあそれはいいとして。
とにかく、あの頃、同棲時代――。妻を抱きしめたいのにそこにいけなくて、妻も俺に抱きしめて欲しいのに俺のところにこれなくて。俺たちの間に空気の壁がでっかい風船のような固まりが俺たちを阻んでいたようだった。
その時の俺のもどかしさを思うと、今でも胸が痛いほど切なくなる。

ひとり月明かりの中にいた妻を良く思い出す。
そうだ。日記のタイトルはそれにしよう。『月にウサギ』。

 

・・・*・*・*・・・ ・・・*・*・*・・・

 

10月28日
職場の大きなイベントも無事終了。妻の部隊も任命されたホストをやり遂げて、ほっと一息のようだった。
今夜は先程帰ってきたところ。妻は打ち上げとかで、部隊の同僚達と珍しく飲みに出かけている。
俺も少しだけ顔を出したけれど、やはりもう俺の部署じゃないなと感じてしまった。
皆に引き留められたけれど、やはりホストとして苦楽の時間を分かち合った者同士で盛り上がるべきだと思ったから……。
だけれど、いつものバーに行ってみた。そこで、こちらも一人大人の時間で一息ついていた『ミラー中佐』と出会った。
二人でなんとなく昔の話になってしまった。
そのせいなのか、ミラー中佐が急に『キール・ロワイヤル』をオーダー。
彼がそれを口にしながら『あの頃の、痛々しい彼女も懐かしいよ』と静かに笑った。
曰く付きのカクテル。俺も注文してしまった。
あの時、妻はなにを思いながら、この中佐が意地悪でご馳走してくれたカクテルを飲んでいたのかな?
でも妻はこのバーでこの中佐と飲みに来ると、かならずこのカクテルをミラー中佐からご馳走になっている。つまり二人の思い出の、今は中佐だけがご馳走できる、そして妻だけがご馳走になれる一杯ってことらしい。
……なんか、急に悔しくなってきた。
 
ともかく奥さんは、お仕事お疲れ様。
明日の代休は俺と一緒に、チョコレートを食べような。

 

・・・*・*・*・・・ ・・・*・*・*・・・

 

10月29日
昨日、日曜にあった式典行事のため本日は代休日。
忙しかったせいもあって、いつもは休日もなにかしら基地へと出かける妻も今日ばかりはゆっくり休むようで、ブランチを作ってくれた。
ママのブランチは、フロリダ風。お祖母ちゃん譲りのほんのり甘いパンケーキ、オレンジにグレープフルーツ、そしてベーコンとスクランブルエッグ。御園家ではパンケーキにいろいろな具を乗せて食べたりするらしく、蜂蜜やシロップ、バターにジャム各種の他に、焼いたスパム(ポークランチョンミート)や、細かく潰したバナナのディップとか、刻んだオニオン入りのマヨネーズ和えシーチキンとかが出てきてお好みで食べるとか。これらが妻がフロリダで食べてきたおふくろの味ということらしい。
妻はさすがアメリカ帰国子女だけあって、スパムにシロップをかけてパンケーキに挟んで食べるのが好きらしい。俺はやっぱりシンプルにバターで……。
うちの子供達も大好きだ。息子も娘もママのほんのり甘いパンケーキにかぶりついているもんな。
 
午後はゆっくり読書。リビングのソファーで横になって読んでいたのだけれど、息子が身体に乗ってくるわ、娘がそばをちょこまかしたり、なかなか集中できなかったけれど、面白いから眺めていた。
そのうちに息子がテーブルの上で積み木を始め、娘がそれを邪魔したりして遊びだした。ほっとして本を読み始めたはずなのに……。いつのまにか昼寝をしていたらしい……。それほどに今日はうららかな秋晴れで、リビングに入ってくる日差しが気持ちよかった。
だけれどピアノの音で目が覚めた。聞こえた曲はエルガーの『愛の挨拶』。
あんまりにも心地よいので、すぐにはソファーから起きあがれなかった。
それでも妻のゆったりとした穏やかなピアノの曲が続いたので、我が家の『スタジオ』に足を運んでみる。
スタジオと言っても防音を施しているただの部屋。客間としても使っている。覗くとそこに息子と娘もいた。息子は変わらずに元気にミニカーで遊んでいたれど、娘はピアノを弾くママの足下で大の字になって眠っていた。
日射しが降り注ぐ中で妻が子供達に囲まれてピアノを弾いている。ああ、その時に見られる笑顔を見ると俺もほっとする。
この前のブルーな気持ちが吹っ飛んでいくようだった。
 
幸せだな〜なんて、ピアノ部屋で家族揃ったら玄関からチャイムの音。
やってきたのはお隣の海野家。達也も奥さんの泉美さんも、息子の晃も一緒だった。なんでもピアノの音につられて来てしまったんだとか。
丁度、泉美さんがケーキを焼いたとかで『一緒に食べましょう』と持ってきてくれた。
妻は大喜びで、早速、ピアノ部屋でファミリー揃ってのお茶の時間。
泉美さんが作るお菓子はいつも美味い。甘いものが苦手な達也も奥さんがつくったものは美味しそうに食べている。
妻の葉月も大好物の『チョコパウンドケーキ』。うちの奥さんの大好物がやってきた。
泉美さんは時々、俺たちの仕事話を聞いて『私ももう一度戻りたいわ』と言う。だけれど彼女も『でも分かっているの。心臓のことを考えると、仕事を全うするなら結婚はできない。でも私は結婚と子供を選んだの。だからいいの』と。本当はちょっと寂しそうだけれど。そんな彼女はいつも『なんでも手に入れられるだなんて間違いよ』と言う。
本当に、なんでも手に入れられることはないと俺も思う。そんな中で泉美さんは自分で納得できる最善の答を家庭にしたんだと思う。
そんな彼女は『これからも貴方達に活躍して欲しいから、私、この家のこと頑張るわ。私が支えるからね。貴方達の活躍が私の活躍よ』と言ってくれる。
その通りに俺たち……。泉美さんが家庭にいるから外に出て行けるんだなと本当に感謝している。
感動したのか、達也が泉美さんを抱きしめたりして……。
あ、うちの奥さんは、泣きそうな顔していたけど、すぐにケーキのおかわりをしていた。……ほんっとに。まあ皆が笑ったから良いけれど。
そのあとも、娘が賑やかさに目を覚まして、子供達がどたばたと大暴れ。
すっかり賑やかな午後になって、俺も楽しかった。
 
さっき、寝る前に妻とワインを一杯、乾杯した。おともにチョコレートを添えたけれど、俺はもう……今日はチョコレートは……。一粒だけ食べて終わりにした。
妻はまだそれでも食べていたけれどな。
 
さて、今月も忙しかった。なんか結婚してから日が過ぎるのが早く感じるなあー。俺もおじさんかなー。
それではお休みなさい。来月も日記、頑張れるように。

 

 

 

Update/2008.10.6
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