-- メイビー、メイビー --

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29.サヨナラの始まり

 

 昼下がりの海岸線を、真っ赤なトヨタ車が走る。

「えー、ミセスってこの車で度胸試していたのー?」

 現在となっては『旧式』とでもいいたくなるようなマニュアル車。ギアをいちいちチェンジさせなくてはいけない車なんて、久しぶりに乗ったと思いながら、英太は運転席でハンドルを握る。

「ああ、島の走り屋と港で短距離レースをしたり、海面を下にチキンレースしたりして憂さ晴らしを夜な夜な。当時から親しかった海野准将が、止めるのに一苦労、探すのに一苦労だったとかいう昔話をいつも聞かせてくれる」

 基地を出て、華子と『Be My Light』で遅いランチを取った。当然――あの店に連れて行けば悪友とも言うべき『秀太郎』がいて、華子を一目見た途端、早速英太をからかいたい顔をしていた。だが、英太も『いつも話している幼馴染み』とだけ紹介すると、なにもかも解った顔で華子を快く迎え入れてくれた。
 食事を済ませ『島一周ドライブをしよう』という計画になり、英太はこうして葉月さんの愛車で海辺を走っている。

「ふーん。やっぱりミセスも苦しかったんだね。ううん、苦しくないはずないよね……」

 あの華子が、眼差しを伏せ哀しそうな横顔を見せる。また申し訳ない顔で、白いブラウスの下に消えた『誘惑のキスマーク』を手で押さえていた。

「さっきも食事中に話しただろ。俺だって、本当は華子とそんなに変わらないんだ。俺は、二年前の航行中にミセスを襲って、服を引き裂いて、無理矢理あの胸を開いて確かめたんだ」

 二年前。航行中にやってしまったことを、英太は初めて幼馴染みの華子に食事をしながら伝えた。
 その時の華子の驚きの顔と、そして話せば話す程、無口になって俯いてしまうらしくない華子の顔。それが、いつになく英太の目に焼き付き心にひっかかっていた。

「……そういう日々の細々としたこと。お前に話さなくても別に変わりはないと思ってさあ」

 まるで。一番寄り添って生きてきた幼馴染みに隠し事をしてきたような気持ちにさせられる。年上の人妻のミセス准将に恋をしていることすら知られている幼馴染みなのに、わかっていて彼女と身体を許し合って求め合って抱き合ってきた仲なのに。

「ううん。そういう点では、私もどこの男と今どんな駆け引きをして勝負しているかなんて、英太にいちいち言わなかったから」

 そう。華子もそうだったのだ。だが、英太も注意はして諫めても、御園夫妻が諭してくれた通りに『全力で止めなかった』。華子が意固地になって簡単には言うことなど聞かないだろうと諦めてしまい、おざなりにしてしまっていたのだ。

 二人は無言になる。
 互いにどのような拘りと世界観を持っていて、どのような日常を過ごしているか知っていても。そこでどのように生きてきたか、どんな人間と接しているかなんて……知りもしなかったのだから。

「でも、安心して英太。私も今日のことで思い知ったから。あんな傷を持っている女性があそこまで生き抜いてきたのを見せつけられたら、ここでまた同じことを繰り返す道に引き返すなんて、ほんとにただ弱いだけになっちゃうもん」
「いや。俺だって二年前は相当迷惑かけたんだよ。あの夫妻はきっと他にもそうして自分達より若い部下に体当たりをしているはずなんだ」
「二年前ねえ……。そして、私は二年も遅れて今日ってわけね」

 どこか華子が、妙に含んだ言い方で苦笑いを見せる。

「英太が私より先に、二年も先に行っちゃっていたなんて知らなかった」
「でも同じ場所で同じところに辿り着いた――と、思う」

 それでも華子は『そうかな』と不服そうだった。

「なんでも英太と一緒で、なんでもわかっていると思っていたけど、違っていた」
「だからさ。本島と離島で離れて二年なんだから、日常のことなんて学生時代のように何でも見えている訳じゃないんだから、当たり前だろ」
「そうよ。『ずっと学生の時と変わらない』と馬鹿げたことを信じていたんだわ。もう、私達、三十も目の前だっていうのに!」

 最後強く言い切った華子の横顔を見ると、とても悔いた眼差しで歯ぎしりをしているように見えた。それほど強く激しく揺さぶられていたようだった。

「あのおせっかいな大佐に、いまでも腹が立つんだけれど。あのオジサンが私達に言いたかったこと見せたかったことは、見逃してはいけないことだった。確かに、そう。悔しいけれど、そうなんだって」

 いつにない華子の敗北に満ちた顔、それは『おせっかい』に対して腹を立てているのではなく、そんな情けない自分を他人によって知らしめられたことへの自責と悔しさのようだった。
 そんな幼馴染みを見ていると、英太もどうしてかモヤモヤとした不安に包まれていく感触――。

 なんだろう? 今すぐ華子を抱きしめて強く抱きしめてそのまま抱きしめっぱなしでいたいこの気持ちは?

「なんだ、このギア。変なクセみたいなのがあるな。葉月さん、結構こき使ってきたんだな、こいつのこと」

 ギアをチェンジするたびに、妙なひっかかりを微かに感じる。あの人の長年のクセを吸収している愛車に乗って、英太は華子が作り出す重い空気から逃れようとした。

「空でも陸でも、昼も夜も。なにかにぶつかっていないと生きていけなかったなんて……苦しかっただろうね、ミセス准将」

 ギアをチェンジする英太の手を華子は静かに見つめていた。まるでその手がミセスの手にでも見えているかのように。

 それきり、また華子は黙り込んでしまう。車窓から離れない青い海をずっと遠い目でみつめている。
 英太も幼馴染みの波収まらぬ心境を察し、そのままそっとしておいた。

 

・・・◇・◇・◇・・・

 

 島を一周、途中で高台の燈台と岬の展望台で海を眺め、海辺のカフェで一息ついて、ついに――『御園家』へと車を返しに行った。

「そこの住宅地に入って直ぐの白い家よ」

 先に知っている華子のナビゲーションで、英太はついに、恋する人の家庭へと辿り着いてしまった。
 そこには噂で良く耳にしている『白い二軒の家』がある。
 海野准将とプライベートで一緒に出かけると、彼はいつだって『葉月との昔話』ばかり教えてくれる。その中で『あいつの部屋、昔から青と白なんだ。だから新居も青と白ぽく造ったみたいで、俺の自宅も同じようにして綺麗に揃えて外観良くしよーぜって話になって、泉美も大賛成』――なんていう、我が家自慢は、どちらかというと、御園夫妻より海野准将から聞かされることが多い。

 まったくその通り――と唸る光景がそこにあった。真っ青な空に真っ白い家が双子のように二軒。御園家と海野家が如何に寄り添って暮らしているかが窺える景色。

「きたきた! 英太ー!」
「英太、いらっしゃい!」

 赤い車を駐車してドアをバタンと閉めた途端、その音を聞きつけたのか一軒の家から少年が二人、いつもの元気の良さで飛び出してきた。

「おー! 華子さんとツーショットだっ」

 いつもの如く、親父さんにそっくりハキハキと思ったことは口にする海野晃小僧が真っ先に英太にめがけて走ってきた。

「英太、いらっしゃい。華子さん、お帰りなさい!」

 そしていつも兄貴分の晃の後ろで控えめに、でもしっかり者の落ち着き振りで礼儀正しい御園海人小僧もにこやかな笑顔で駆けてくる。

 そんな二人が英太の身体にいつも通りに『わーい英太ー』と飛びついてきた。
 いつもそう。いや、この少年と初めて出会った時からそうだった。彼等の父親二人が連れてきた英太を『雷神のお兄さん』と紹介した時から、『うわあ、すっげー』とキラキラとした眼差しを見せてくれ、そして無邪気に英太に飛びついてくる。最初は戸惑った。こんな子供と戯れたことがなかったから……。でも、二人が『英太、英太、あれやろう、これやって、一緒に行こう、一緒に遊ぼう』と無邪気に英太を巻き込んでいくうちに、まるで英太も……いつか失った少年時代をやり直しているような気持ちにさせられたものだった。
 そして、今も――。英太を一目見ると、こうして喜んで駆けてきてくれて、抱きついてくれるのがとても嬉しかった。

「おっす。昨日は華子が世話になったみたいで、有り難うな」
「なんだよー、英太ったら水くさいな。なんでこんな美人の姉ちゃんの彼女がいるって教えてくれなかったんだよ」
「そうだよ。恋人はいないだなんて。こんな綺麗な彼女がいるじゃんかっ」

 あ、言い方はそれぞれの性格が微妙に出ているけど。毎度の『ませガキ』加減に、英太は苦笑い。
 そしてやっと、助手席から降りてきた華子がすくすくと笑っている明るい顔を見せていた。

「ほーんと、あの准将パパと大佐パパとミセス准将ママの子供達ってかんじ」

 どうやら華子も既に『ませガキ』の洗礼を受けているとようで可笑しそうだった。

「華子さん、雷神のエースコンバットどうだった?」

 海人の目がキラリと華子へ期待の眼差し。そして晃も同じようにワクワクした顔を華子に見せている。

「うん、すごかった。今日は英太が1対9の3ステージだったんだけど、すごかった。空母艦の上空に来た時、本当に雷鳴と稲妻を感じたんだもの」
「うわっ、羨ましい!」
「俺も、見てみたいよ。母さんと英太のコンバット」

 少年達の羨望の眼差しが華子の注がれ、そして英太に注がれた。

「英太、それでどうなったんだよ」
「まだ抜けられそうにない?」

 二人の少年が英太を応援してくれているのも知っている。

「だめだった」

 でも英太は清々しく答えていた。だから少年達もガッカリした顔を見せたが直ぐにまた期待の眼差しに戻る。

「やっぱ、英太の今のライバルはスコーピオンだな。スナイダー=ウィラード少佐もかっこいいんだけどさー」
「俺も、英太にエースになって欲しいよ。母さんが誰がなってもおかしくないのが雷神だって言うけど、平井キャプテンも成田中佐も辞退してコンバット要員のみに徹して、もうほとんど英太とウィラード少佐の一騎打ちになっているみたいだし」

 やはりミセス准将の傍にいる子供達だった。空への関心は尋常ではない。そんな中、若い英太を特に応援してくれている少年達。そして彼等はあのミセス准将の息子達。

「ああ、なってみせるさ。ここまで来たら絶対」

 子供相手にと思うかもしれないが。いや、子供相手だから英太は真剣な目を彼等に向けた。
 自信過剰でもなんでもいい。この子達がそれを願って、俺を見て、そして彼等が頑張りたい気持ちになってくれるなら……。
 そう思った時。英太はふとなにかを知った気になった。――御園夫妻も、俺や華子にこんな気持ちで受け止めてくれたのだろうか、と。

「いつも俺を応援してくれて、有り難うな」

 英太から礼を言うと、二人の少年がとても嬉しそうな顔になってくれる。そういう純粋な喜びを、彼等は、あの人達の子供がまた英太に幸せを感じさせてくれるのだ。

「お帰りなさい」

 子供達と話していると、海野家から夫人が出てきた。
 海野准将夫人。英太と華子は揃って一礼をする。

「奥様、お世話になりました」

 華子の礼に、英太も。

「突然の訪問にもかかわらず、こちらのご家族に歓迎して頂いたと聞いております。奥様、私の家族同然の彼女がお世話になりました」

 基地でそうしているように、上官と接するが如く、英太は丁寧に海野夫人に礼をした。

 こうして対面するのは初めてだった。公式で海野准将が夫人連れであったことは何度かあったが、そんな時は英太のような下っ端は遠目に見かけるだけ。噂通り、線が細い優しげな夫人。入退院を繰り返しているとかで、表立って姿を見せる女性ではなく、そして普段の生活でも姿を見るのは希で、どの者も滅多に見かけることが出来ない副連隊長夫人として有名だった。だがこうして対面すると、彼女の黒い目がとてもしっかりと英太と華子を見つめているのがわかる強い眼差しだった。

「初めまして、鈴木大尉。いつも子供達を可愛がってくださっているのに、ご挨拶と御礼が今頃になってしまいました。いつも有り難うございます」
「いえ、こちらこそ。御園ご夫妻と共にご主人の海野准将には、プライベートでも良くして頂いて。失礼ですが、兄貴……と言いましょうか。感謝しております」

 まるで自分ではないようだが、そこはやはり『副連隊長夫人』。丁寧にならざる得なくなるのが軍人の性。
 だが、そんな海野夫人は英太を寂しそうな顔で見ているので、顔を上げた英太は首を傾げてしまう。

「それはね、大尉。主人も、貴方ぐらいの年齢の時、とても孤独で寂しい身の上だったからだと思うわ」

 『え』と、英太は思わず固まってしまった。
 海野准将だけは、本当に天真爛漫で明るいというか。それに、御園夫妻の話は良く聞かせてくれても彼自身のそんな話は聞いたことがなかったから驚いた。

「ううん。私も、そう……葉月ちゃんも、そして隼人君も。みんな、一人で孤独だった。葉月ちゃんは一人で闇と戦って、隼人君は家族と暮らせなくてマルセイユに閉じこもって、私は心臓を抱えて誰にも甘えられず一人で生きていこうと意固地になって、そして海野は母に捨てられ実家を出て一人で軍隊に。皆、一人一人だったのに、四中隊で出会って、そして一緒の毎日を過ごしているうちに、私達家族になっていた。それを……まだ家族をこれから作るだろう貴方達に教えたかったんだと思うわ」

 英太と華子は顔を見合わせた。今日は夫人の言葉が身に染みる日。自分達より先にいる大人の彼等が、自分達を見守ってくれている気持ちが今日はよく解る日。

「いま貴方達の傍で、先に出来上がっているものに対して、自分達には遠いものだとか無いものだとか思わないで。そう、『今は無い年代で時期』。貴方達にはこれから出来るんですもの。いいえ、その日が来ると言うことを強く信じて欲しいわ」

 葉月さんが言っていた言葉と一緒だ――。英太と華子は顔を見合わせ、そっと頷きあった。
 夫人の言葉、それがよく解る。そしてこの女性も、御園夫妻と共に生きてきた、そして信じ合ってきた家族なんだとつくづく感じさせてくれる強い目をずっと英太と華子に見せてくれていた。
 色白で線が細く、そしてそんなに華やかではない女性。でも黒い瞳が強く煌めいていて、そして意志ある唇は艶やかな微笑みを湛えていた。

「同じことを、ミセスからも今日……私も教わりました」
「やはり、ミセスとご家族なんだって。俺も感じました。奥様、有り難うございます。俺と彼女、今日のご夫人方の言葉、良く心に留めておきます」
「私も、同じ気持ちです」

 二人で揃って告げると、やっと海野夫人が華やかな笑顔を見せてくれた。その笑みひとつで、線が細かった夫人がくっきり鮮やかに煌めいたように見えた程。

「そう、良かったわ。昨夜の華子さんを見て、ちょっと心配していたけれど。要らぬ心配だったわね」

 昨夜の華子――。そう言われた途端、華子がどこか恥ずかしそうに俯いてしまった。
 そして英太も察した。昨夜、このファミリーと同席をした夕食かなにかで、あまりにも幸せそうで賑やかな家庭を『みせつけられた』と思ったのだろうと。だから、今日になって大佐に悪戯をふっかけ、ミセスとやりあった。そんな兆候を既に海野夫人も見抜いていたようで、そして今日、基地でそれが上手く解決したのか案じていたようだった。

「ミセス准将から車のこと、言づかっています。やはりまだ基地から帰れないようだから、車だけ受け取っておいてくれと」

 そう言われ、英太は貸してもらっていたキーを海野夫人に手渡した。

「今夜はマリーナのホテルを予約しているみたいだから、そちらでお二人でごゆっくり。これは御園大佐からの伝言です。フロントで華子さんのお名前を言えば、案内をしてくれるそうです。今夜は幼馴染み同士ご家族同士水入らずで、ホテルでゆっくりお食事を。大佐がお二人分、こちらも予約を入れているとのことです」

 そこまでの気遣いに英太と華子は揃って驚き。

「そんな。俺でも知っています。あそこのホテルのコースはこの島でも一番高級で……」
「あの私達、二人で適当に外で食事を取りますし……」

 だが海野夫人は、元大佐嬢補佐官らしく、きっぱりとした顔で続けた。

「いいえ。是非にと大佐が願って手配したことですから、受けて頂ければ彼も喜ぶと思います。大尉もこの島で暮らしている者として、一度は島でのコース料理がどのようなものか知っておくこともお勉強のひとつだと思いますよ」

 コース料理なんて苦手だ……と思ったが。それは確かに、島でこれからも暮らす者として、または最近『エース候補たるもの品格を』とよく言われるだけに、今までのように『俺は俺、気ままでよい』ということはこれから通用しなくなっていくだろう。英太もそれを肌で感じていた。

「では。お言葉に甘えさせて頂き、華子とご馳走になります」
「大佐に御礼を伝えてください」

 最初からなにもかも、華子と英太がどうなるか判っていたかのような手配振り。でも、今日の二人は御園夫妻に完敗。二人がそうしろと言うなら、むしろそうした方が自分達のためなのだと素直に受け入れられていた。

「明日の朝、チェックアウトの時間に大佐が華子さんをまた迎えに行くとのことです。今夜はごゆっくり、島での夜を気心知れた家族で堪能してください」

 海野夫人の優しい笑顔に、二人もふっと心が和む。

「では、ホテルまでの車を手配しますね。タクシーを呼んできますから、お待ちになってね」

 海野夫人が家の中に戻っていく。子供達は大人達の難しい話など『退屈』とばかりに、葉月ママの赤い車の周りで遊んでいた。

 タクシーを待つ間、英太は白い家を見上げる。

 これが。あの夫妻が苛酷な日々を乗り越えて、手に入れた場所――。
 今まで。恋する人の家庭など見たらどんな気持ちになるかと怯えていたが。でも、そんな切ない気持ちは一切感じなかった。
 むしろ。その白い家の眩しさだけが、英太を惹き付けて放さない。また羨望の、そして憧れを抱いた。

「華子、俺達も……家、買うか?」

 自然に出た言葉だった。今の華子と俺の経済力なら、少し無理は出るが買えないこともない。どちらかと言えば、同年代では二人の収入は良すぎる程。だから。今までは春美のマンションで暮らしてきた。でも、もう……叔母は直に俺達を置いて逝ってしまう。
 だから、残された俺達の、『今までのように暮らせる家』を。『俺が帰れる家を、華子が待っていられる家を』。そんな今までと同等の感覚で言ったつもりだったのだが。

「なに言っているのよ。家なんて、今の春ちゃんのマンションで充分でしょう」

 華子を見ると、困った顔をしていた。
 その顔がまた、どこか申し訳なさそうにも見え。英太には、華子がそこからまだ変わりたくないから困っている……ように見えてしまった。
 そして、いつにない。幼馴染みとずれた感覚を噛み合わない感覚を初めて感じていた。

 

 

 

 

Update/2010.9.7
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