18.百合に誓い

『ジリリリリーーン!!』

その音で起こされるのは珍しいことかも知れない。

(なによーー! もう、朝??)

葉月は二日ぶりに自分のベッドで横になれたと思ったのは

つい先ほどのように感じたのだが……。

手を伸ばして、目覚まし時計をとると……そうでもなかったらしい。

短い睡眠時間とはいえ、4時間はすぐに来たようだ。

隣では、白いシルクのパジャマを着た隼人がスヤスヤとまだ眠っていた。

(うーん。。いつもは、隼人さんの方が早く起きているのに……)

眠い目をこすりながら、葉月はいつもは起こしてくれる彼を

そっとして……彼の身体をまたいで壁際からベッドを降りた。

昨夜24時頃、隼人と共に『丘のマンション』に帰ってきたところ。

隼人の父、和之をホテルまでジョイに送らせてその後……。

滑走路に配置されたフランス入りする為の『軍輸送機』に

必要な機材を詰め込む作業を、班室にいる『陸隊員』を使って

山中と共に指揮をして、やっと荷物を積み終えたところ。

空軍管理長の隼人が不在の為、葉月はデイブと共に

輸送機の燃料補給方法、補給場所、その補給許可を

デイブと決めて、空軍管理班を動かす。

そのすべての手はずが整った頃……。

『後は……出かけるだけになった。ほぼ、復旧方法も決まった。』

と……いって、隼人が戻ってきたので二日ぶりに帰宅する事にしたのだ。

ガウンを羽織りながら、葉月は水色のカーテンを見つめた。

(ああ。憎たらしいくらい晴れたわね)

昨夜の雨はすっかり通り過ぎたようで、カーテンの向こうからは、

輝くばかりの光がこぼれていた。

隼人は、また出勤後……。

今度は『拳銃訓練』にメンバーと共に出る事となっている。

機械はお手の物だが、陸系はそうは訓練されていない通信科メンバー。

ある程度は、皆、訓練を受けているが、

前線に出る前の『強化訓練=おさらい』と言うことらしい。

(なかなか……ゆっくり出来ないわね)

葉月は、まだ眠っている隼人に、いつもは朝食を作ってもらっているので

こんな時は、自分がしなくちゃ……と、八帖部屋をそっと出た。

キッチンで『カフェオレ』を入れながら、そっと昨夜のことを思い出していた。

丘のマンションに帰宅するなり……

『電話借りるよ』

隼人がそう言って上着を脱いで、テラス入り口にあるテレホンラックに向かった。

時間は24時を過ぎているのに……

(どこにかけるの?)

葉月は、そう思いながら首を傾げて隼人の行動を見守っていた。

そして……隼人がどこかの番号を押して受話器を耳に当てる。

「あ。俺だけど、『美沙さん』?」

葉月は女性の名を『……さん付け』で呼ぶ隼人にドッキリ……。

動きが止まってしまった。

隼人が『実家』に連絡して……葉月が気になるところの

歳がそう離れていないだろう、彼の継母と彼が今話していると解ったからだ。

そっと……目の前にあるダイニングチェアを引いて腰をかけた。

隼人は、葉月が背後で固唾をのんでいるのを『チラリ』と

肩越しに、振り返ったが気にならない様子ですぐに視線は逸らされた。

「夜遅くにゴメンな。 和人……起きているかな?

え?? ああ……。親父と一緒に食事したよ。

大丈夫だから……俺……疲れているんだ。やっと家に戻ったところ。

明日も早いから……早く和人と代わってくれないかな??」

妙に隼人が、口早に彼女との会話を切り上げようとしていた。

心配している継母の様子を避けるかのようだった。

(私がいるから……照れ隠しなのかしら??)

そう思いたかった。 それならいいのだが……

何か彼女に対してわだかまりがあるような気がしてならない。

彼女と会話がやっと途切れたのか、隼人はため息をついた。

暫くして……

「ああ! 和人! 元気か??」

打って変わって……隼人の明るい声。

初めて『お兄ちゃん』である隼人を葉月もジッと見つめる。

「ごめんな……正月も帰れなくて……。

少佐になったり……大きな部隊に来たから大変なんだ。

いま、うちの隊長が所属するフライトチームをサポートする

メンテナンスチーム結成の仕事も任されて……。

え? ああ……。うん……。

任務のことは大丈夫だよ。プロの海兵特殊部隊と一緒なんだ。

彼等はアメリカで良く訓練されている人達だから

俺達、通信メンバーも良く守ってくれるよ。

その辺は、お父さんによく話したから、帰って来たら聞いたらいい。

それから……お母さんに有り難うって言っておいてくれ。

え? 言えば解るだろうから……そう言っておいてくれるか?

それより……。

お前はどうなんだ? 今年、受験だろ? 進路は?」

気の良い『お兄さん振り』の隼人を見て……

(真一の面倒見がいいのもお兄さんだからなのね……)と、

葉月は改めてアドバイスに励ましをする隼人に感心……。

10分ほど明るい話しぶりをする隼人を眺めていた。

隼人は、弟と話をしただけで継母にもう一度代わろうとはせずに

そこで電話を切ったのだ。

(お継母様に言いたいことは、弟さん経由って訳?)

葉月はちょっと腑に落ちなくて眉間にシワを寄せたのだが。

隼人がテレホンラックから振り向いたので

いつもの笑顔をそっとこぼしてみた。

「あー。安心した!」

「安心??」

葉月が訝しそうに尋ね返すと、隼人は気まずそうに微笑んだ。

「ゴメンな……葉月。夕方、お前にひどいこと言った……。」

謝る隼人に驚いて、葉月は慌てて首を振る。

「親父にも散々説教されたけど……やっぱり会えて良かった。

それで……横浜にも連絡しない内に、

弟が俺が帰省しないのは自分のせいだって思いこんでいるって

親父から聞いたんだ……。

今回親父に会わなかったら、もしかしたら弟の事、どうなっていたかと……。」

「弟さんが!?」

葉月もそれは予想していなかったので驚いた。

そうして……隼人は葉月の側に来て

『本当にゴメンな? 有り難う……。』

と、愛おしそうに胸の中に抱きしめてくれた。

「私こそ……意にそぐわないこと、無理矢理。」

栗毛を胸の中で撫でてくれる彼をそっと見上げる。

隼人も瞳を閉じて、首を振る。

だけれども、彼はすぐにニヤリ……いつもの余裕気な微笑みを浮かべた。

「いいんだよ。葉月の台風はいつものこと。それで意外と救われたりね。」

「台風って何よ!!」

『もぅ!!』

いつもの口悪に呆れて彼の胸を突き放そうとしたのだが……

また力強く胸に抱きすくめられて、そっと唇を奪われた。

「愛しているよ……本当だよ。」

彼が……珍しくそう言うから……葉月も力が抜けた。

明日、フランス航空部隊基地に到着して、空母艦に入ってしまえば

隼人はすぐに、岬にある小基地に突入だ。

こうして彼に抱かれるのも、栗毛をいたわってもらえるのも……。

優しく囁いてくれるのも……

この暖かみをゆっくり感じるのも今の内……。

そう思うと、葉月も切なくなってくる。

自然と彼の背中を自分も抱きしめていた。

だから、お返しに言わなくてはならない。

自分も素直にこの機は逃してはならない……。

「隼人さん。私も、愛しているから……どこにも行かないで?」

そう囁くと彼は微笑まずに、妙に黒い瞳を揺らして

さらにキツク抱きしめてくれた。

彼の切なさは、葉月の切なさ……。良く伝わってきた。

『せっかくここまで二人で来たの。私、今度は絶対手放さない!』

朝の出来事を頭にかすめる……。

やっと扉を開けて葉月が守ってきた部屋に入ってきた男性。

二人は漁り火が見えるリビングでそうしてずっとお互いの暖かみを確かめていた。

その後、お互いに一緒の寝床に入ったが疲れ切っていたので

肌の暖かみを分け合うだけで、

二人一緒に腕を絡めて、足も絡めて眠ってしまった様だった。

そんな短い一夜を思い返して葉月がカフェオレを入れ終えると……。

隼人が気だるそうに部屋からパジャマ姿で現れた。

葉月が準備した簡単そうな食事が並ぶのをぼんやり眺めている。

最後に大振りのカップに注いだカフェオレを出すと

やっと手を伸ばして一口。

「なぁ……部隊に出たら付き合って欲しいんだけど。」

「付き合って欲しいって??」

「うん……。まぁ。たいしたことじゃないんだけど。」

葉月は、疲れた眼差しでカフェオレを飲む隼人に首を傾げたが……。

「いいわよ♪」

そう微笑んで彼の目の前に座り込むと、隼人からやっと笑みがこぼれる。

「早く……。こんな生活に戻りたいな。」

カフェオレを飲みながら葉月を通り越して

隼人の眼差しは、朝日がこぼれるテラスに向かって行く。

そしてもっと遠く……海の水平線を見つめているのが解った。

「戻れる……わよ……。」

(そんな風に言わないで……)

葉月の張りのない声に、隼人も黙ってうつむいた。

二人はお互いに迫る危機感を噛みしめているのか

一言もかわさずに、出動前最後の自宅での食事を勧めた。

上手く成功すれば、3日後にはここに帰ってこれる。

長引いても……5日か?

葉月はそんなことを頭で考えながら、

白いパジャマ姿の恋人を時々確かめるように見つめた。

隼人が清らかで優しい光を放っているように見える。

例え、僅かな時間が勝負の任務でも

この部屋に帰ってくる日が遠い日に葉月には感じた。

「付き合ってくれってどこなの??」

部隊に出るなり、隼人は本部に向かわずに、

葉月の手を引っ張って何処かに向かおうとしていた。

葉月は手を引っ張られるまま、隼人について行く。

いつもは、『中佐と側近』の姿を基地内では見せている二人が

今日は、朝から男の隼人が葉月を引っ張って

前へ突き進む姿を通りすがる隊員達が物珍しそうに振り返る。

葉月は、いつになく気迫充分な隼人に戸惑いながら……。

隊員達の好奇の視線に頬を染めながら……。

連れて行かれた場所は……。

『カフェテリア』だった。

(なに!? 朝ご飯は食べたばかりだし……)

この日の朝は、小笠原基地に任務が回ってきたせいか

他中隊の隊員達も出動準備に駆り出された者もいて

その夜勤明けの隊員達がいつもより多くモーニングをとっていた。

その隊員達も、噂の二人がそろって現れたとばかりに

皆の視線が葉月と隼人に集中した。

でも、隼人はカフェテリアの奥を見据えてまた葉月の手を引っ張って

お構いなしに、どんどん突き進んでいく。

「おはようございますー!」

隼人が入ったのは、カフェテリアの隅にある『雑貨店』だった。

離島で品数少ない生活だから、欲しい雑貨物はこの店が

本島から取り寄せてくれたりしている。

アメリカキャンプ内にはアメリカ人向けのスーパーもあるが

こちらは日本国内製品が専門。

かくゆう葉月も、『化粧品』はこの雑貨店で購入している。

女性向け用品が多いのだが男性隊員もよく利用しているようだった。

隼人も時々は入るようだったが……。

「おはよう? 早いね……二人そろって……。」

レジカウンターから顔を出した店長は日本人。

島内で文具店を営んでいて軍からの誘いを受けて

カフェテリアの雑貨店を任された地元のおじさんだった。

「店長。 お花……入っているかな?」

「花? ああ。島市場から入荷されるのは毎日、9時以降だけど?

まだ……早いかなぁ??

どんな花でもいいなら……昨日の残りがあるけれど……。」

レジの横には、生花のコーナーもあって

隼人は店長の言葉にため息をつきつつ

そこのガラスケースに葉月を連れていった。

「あ! 丁度ある!」

隼人がそう叫んだので、葉月は隼人の目線を追った。

彼がガラスケースを開けて、ひんやりとしたケース内に手を伸ばした。

隼人が手にした花……。 店長がそれを見てニッコリ言葉を出す。

「ああ。『カサブランカ』は高いからねぇ。良く売れ残るんだよ。

週末はデートかなんか知らないけど、男性隊員が良く買って行くけどね。

時々、連隊長室に分けたりはしているんだけど?」

隼人は店長の言葉にニコリ……と、微笑みながら

迷わずにその白い大きな百合の花を一輪、手に取った。

「葉月。お前も一輪……買ってくれないか?」

「え? 何するの??」

百合の花を手にした隼人が、照れたように微笑む。

「おふくろにいつも持って行く花なんだ。

おふくろが好きだったかどうかは知らない。俺の勝手なイメージだけどね。

親父におふくろの墓に持っていってもらうんだ。

俺と葉月……一緒に任務に行く報告してもらおうと……。

ほら……お前は初めての挨拶だろ? ちゃんと自分で買ってくれる?」

(沙也加お母様に!?)

葉月は、隼人の『真意』が解って飛び上がるぐらい硬直!

『買います。買います!』と、レジに先に向かった隼人にせかされるように

ひんやりとしたガラスケースの中……葉月も慌てて手を伸ばした。

誇り高そうに緑の茎を伸ばして清らかに首をもたげているカサブランカを一輪。

手にとって、緊張した面もちでレジに向かった。

「へぇ。 澤村君のお母さんは……亡くなっているの?」

側で葉月とのやりとりを見ていた店長もちょっと気まずそうに

隼人が『包んで』と差し出した百合を丁寧に包みながら尋ねる。

「はい。僕が2歳の時に……。」

「そうだったんだ……。良かった! 丁度残っていて!

出動前にお目当ての花がなくちゃ私も顔が立たないところだったよ!」

「いえいえ。何でも良かったんですけど。たまたまあったから。」

「そりゃ良かった。神様も澤村君の親孝行解って残してくれたのかもね?

前線だって? 今、カフェ中、フランス管制基地占拠の話でもちきりだよ。

お母さんがきっと守ってくれるさ……。」

店長は『噂』で、隼人と葉月の今の状態は良く知っているようだった。

「中佐嬢も……いいお嬢さんだって解ってもらえるよう……

綺麗にリボンをかけてあげるよ♪」

店長の気遣いは有り難いが……

『恋人のお母さんにご挨拶』とばかりに

店長は『にこにこ。』と、葉月をからかうような笑顔で綺麗に包んでくれた。

気恥ずかしいが、やらねばならぬ事なので

葉月は、照れながらその花を受け取った。

二人はお互いに匂い高い百合の花を手にしてカフェテリアを出た。

「親父。 17時発の横須賀行きチャーターに乗るのだった?」

帰り途中、隼人が尋ねる。

「ええ。」

「俺、また訓練に出るし、会えるかどうか解らないから……。

渡して置いてくれる? 後で買っても良かったけど。

葉月と一緒に買った物……おふくろにあげたかったんだ。」

葉月の腕に、隼人が買った一輪が渡された。

「うん。 解ったわ。渡しておく……。

でもね? 少しでも時間があったら本部に戻ってきて?

お父様……お昼頃、ジョイに迎えに行かせるから。」

「おふくろが守ってくれるって……みんな言うけど……。

いない人がいるように言うなんて……

姿がなくて側にいてくれるなら化けてでも側にいてくれれば……。

俺は今までもっと……気が楽だったと思うなぁ。」

隼人にとっては、『お母さんが守ってくれる』の言葉は通用しないようだった。

それもそうだろう……。 葉月には解る。

真一がそうだから……。 そして自分も……。

『姉様はいない。 もういない。私を見守っているなんて嘘』

そう思ったことは何度もある。

そんなありきたりな『気休め』は神を信じるが如く確証がないこと。

それでも……隼人はこういった。

「おふくろが守ってくれる。そうだとしても……。

俺は……身体が弱いのに産んでくれたおふくろの意志を守るため

絶対に死なないからな!

おふくろが産んでくれたから……葉月とも出会えたんだから!」

隼人のその引き締まった横顔を葉月は頼もしく感じながら見上げた。

(私も、姉様が守ってくれたから……生きている)

隼人は気休めを頼りにせずに、自分の意志をちゃんともっている。

その隼人の意志はこの百合の花に吹き込まれて

沙也加の元に届けられる。

『沙也加お母様。 私も……彼を連れて帰ってきますからね……。』

葉月は瑞々しい香りを放ち続ける百合に話しかけるように、心で呟いた。

隼人と葉月の『誓い』

それは、帰る和之に託された。

和之と隼人は昨夜別れてから会う時間をとることはこの後なかった。

『そうですか。隼人が沙也加に……。

葉月君も買ってくれたのかい? 有り難う……。

沙也加にも伝えておくよ。二人をいつもの生活に早く戻してくれって……。』

和之は隼人に会えなかったことは、覚悟していたのか……。

満ち足りた笑顔をこぼして二輪の百合の花を手にしてくれた。

滑走路に配置された、軍輸送機の物々しさを遠い目で眺めて……。

『御園中佐。お気をつけて……息子を頼みます』

と……神妙に頭を下げていったのだ。

そして、横須賀行きのチャーター便に乗り込んで夕方去っていった。

葉月は和之を見送った後、春休みに入った医学校に向かった。

真一は春休み中も、課外授業を取っていて毎日登校している。

真一も噂で聞いて心配していたし……

隼人が前線に出ると聞いて驚いたようだったが……。

「俺、ちゃんと待っている。丘のマンションで待っているから……。

絶対に帰ってきて! でも、お祖父ちゃんが一緒なら

葉月ちゃんは、大丈夫だね? 隼人兄ちゃんに気を付けてって言ってね?」

『やだ! どこにも行かないでよ!』

もう……駄々をこねる子供ではなくなったようで、

真一は少しばかり不安そうで張りつめた瞳を向けながらも

今回は男らしく、葉月を見送る態度に出てきた。

急に大人になりはじめた甥っ子を感じ始めていた。

『俺。そろそろお医者の勉強が始まるから、

丘のマンションに来ること少なくなるかも』

と……急に前向きに医者への志を固めているようだった。

その目標に対する確固たる強さは甥っ子の成長を感じさせ、

姉と……そして父親の純一を思わせ始める

輝く瞳を息子・真一は携え始めていた。

「寮の皆が帰省して一人になるなら、ロイ兄様の所に泊まりなさい?

美穂姉様にも頼んでおいたからね?」

真一は、葉月の言づてにも素直に頷いて、また勉学に戻っていった。

今夜、夜中……。葉月と隼人はフランスに向かう。

真一に出かける報告をしてその帰り……。

葉桜になった基地内の中庭。

夕暮れの空を葉月は見上げた。

『こんな形で……隼人さんと想い出のフランスに向かう事になるなんて』

皮肉なモノだと……葉月はため息をつきながら

慌ただしい本部へと栗毛をなびかせて戻ったのだ。

夕暮れの空の向こう……誓いをかけた百合の花が……

気休めでも良い……隼人の母親に届くことを葉月は願った。